山行計画に余白を。ルートを柔軟に変更するリスク管理と自由
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変化をあらかじめ計画する、大人のリスク管理と本当の自由。
先日の山歩きで、改めて実感した山の安全について少し話そうと思います。コースタイムや登頂への執着を手放し、常にベストな行動をとるためのしなやかな計画についてです。
山を歩く本当の楽しさは、何かに縛られるためではなく、そこにある自由を味わうためにあると私は思っています。でも、その自由は、無鉄砲さとは真逆の場所にあるものです。
先日、奥多摩から奥秩父へと続く長い稜線を歩いていました。 2日目の朝、将監小屋を出発した私は、足に少し痛みを覚えている自分に気づきました。前日の道中、がれ場で転倒したことが原因でした。
目の前には、笠取山の美しい山頂へと続く急登がそびえています。 せっかくだし、山頂を踏まなきゃもったいない。 かつての私なら、そう考えて無理をしていたかもしれません。

ですが、私は躊躇なく、山頂へ向かうルートではなく、ふもとの巻道をゆくことに決めました。 山頂へは行かない。そのまま、西沢渓谷へと下山する。
その決断をした瞬間、吹き抜ける風が、心地よいものに変わった気がしました。 予定通りの山頂にこだわらず、今の自分の状態に合わせた行動を、その場でしなやかに選ぶ。これが、私にとっての山歩きの正解であり、最高の贅沢なのだと思います。
JMTの朝が教えてくれたこと

かつて学生時代、アメリカのジョン・ミューア・トレイル(JMT)を計3週間にわたって歩いたことがあります。 お金はありませんでしたが、体力だけは有り余っていました。2人用の重いテントと大量の食料を85リットルの巨大なザックに詰め込み、30kgを超える重さに喘ぎながら歩きました。
当時の私は、つまらないほど生真面目なハイカーでした。1日に20km歩くという計画を寸分違わず達成するため、毎日朝から夕方まで、まるで何かに追われるように足を進めていたのです。
転機が来たのは、歩き始めて10日目が過ぎた朝でした。 いつも通り出発すると、はっと息を飲むほど美しい情景に出くわしました。雄大な山容の前に、広い草原が広がり、澄んだ川がせせらいでいる。とても心惹かれる場所でした。

時計を見ると、朝の8時。まだ歩き始めて1時間しか経っていません。 それまでの真面目過ぎた私なら、そのまま通り過ぎるはずでした。ただその時は、心の底から、ここに泊まりたいという強い気持ちが湧き上がってきました。私はザックを下ろし、その日の行動をそこでストップすることにしたのです。
これが単なる無計画な思いつきなら、ただの無謀な停滞になってしまいます。 しかし私は、3週間という長い旅の計画の中に、あらかじめ数日間の予備日を計算して組み込んでいました。ベアキャニスターを開けて残りの日数を数え、ここで1日消費しても後半の行程に一切のリスクがないことを確認する。あらかじめ用意していた、ここで停滞するプランへ、その場で安全に切り替えた瞬間でした。

絵のような絶景の前にテントを張り、川でレインボートラウトを釣り、コーヒーを淹れて本を読む。顔を上げれば、そこにはただ圧倒的な自然だけがある。
それまでの私は、計画通りに歩き通すということに縛られ、山を楽しむという目的を見失っていたのだと思います。山頂を踏むことや、最初に決めたスケジュールを完璧にこなすことだけが正しいわけじゃない。
広く準備を進め、選択肢をあらかじめ持っておくこと。それこそが、山での本当の自由を支えてくれるのだと、あの朝に学びました。
計画を変えることすら、あらかじめ計画しておく
誤解しないでいただきたいのですが、私が言いたいのは、行き当たりばったりに動けばいいということでは断じてありません。現地でルートをしなやかに変更する自由を手に入れるためには、人一倍、盤石な安全への事前の準備が必要になります。
私が実践しているのは、計画を変えることすら、あらかじめ計画に組み込んでおくという方法です。
天候や風速の下調べはもちろん、ルート上のあらゆるエスケープルートをあらかじめ網羅的に調べます。 この分岐までに足が痛んでいたら、どのルートから街へ降りられるか。 昼過ぎから天気が崩れるなら、どこの小屋へ逃げ込めるか。 もしもの時の退路と選択肢を、地図の上で何度も、何重にもシミュレーションしておきます。
その準備があるからこそ、山の中で焦ることなく、心地よい道を選択することができる。 ストイックな時間も、ただ立ち止まって自然に浸る時間も、どちらも登山の代え難い魅力です。事前の準備さえ徹底すれば、そのどちらの選択も取りやすくなります。
いつものお気に入りの自分のまま、トレイルへ

AshTrailで作っているウェアも、山での確かな機能性を大前提としています。
先週末の山行でも、上はTrail Wide Merino Tee、下はTrail Wide Shortsを着ていました。朝露の笹原で足元はびしょ濡れになりましたが、ショーツはすぐに乾き、行動の邪魔をしません。
そして下山後、そのままの格好で違和感なく街に馴染むのがこのウェアの良さです。
道の駅みとみでとんかつを喰らい、冷たいビールを喉に流し込む時間も、帰りのバスの座席でも、わざわざ着替えることなくリラックスして過ごせました。メリノの防臭効果、裏面のポリエステルの吸水の良さもあり、サラサラとした着心地でテント泊後でもそのまま着て過ごすことができました。
山で頼りになる機能を持ちながら、いつもの自分のままでいられる。そんな相棒があれば、旅はもっと軽やかで自由なものになります。
一本道の計画に縛られず、広く準備を進めて、その瞬間のベストな行動を選んでいく。 次はどの山へどんなルートで歩こうか。今から次の週末が楽しみで仕方がありません。
今回ご紹介したプロダクト
Trail Wide Merino Tee
[ Trail Wide Merino Tee の詳細を見る ]
Trail Wide Shorts
[ Trail Wide Shorts の詳細を見る ]
実際に「着心地」を確かめてみたい方へ
「生地の肌触りを試してみたい」「ワイドシルエットのサイズ感を鏡の前で確認したい」という方のために、私たちは毎月ポップアップストアを開催しています。 実際のプロダクトに触れ、私たちのモノづくりの空気感を感じに、ぜひ遊びに来てください。