木曽駒ヶ岳のぬかるみで泥だらけになった白いパンツを、元のクリーンな白さに戻すまで。
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夏のアルプスは、どこを切り取っても美しいものです。先日、中央アルプスの木曽駒ヶ岳を歩いてきました。
今回は、桂小場(かつらこば)からのルート。
初日はあいにくの曇り空でしたが、足元に小さく咲く高山植物たちが次々と目に入ってきて、それだけで歩くのが楽しくなります。
その日は頂上山荘のキャンプ地にテントを張りました。夜の間に雨が激しく降り始め、フライシートを叩く雨音を聴きながら眠りにつくことに。
翌朝、外へ出ると嬉しいことに晴れ間が覗いていて、気持ちよく下山ルートへ向かいました。
ただ、夜の間の激しい雨のせいで、登山道はだいぶぬかるんでいました。
一歩踏み出すたびに足元がズルッと滑るようなコンディション。どれだけ気をつけて歩いても、シューズの側面や裾の内側が、じっとりと濡れた重い泥を容赦なく吸い上げていきます。
ふと足元を見ると、Trail Wide Pantsの裾はすっかり茶色くなっていました。


お気に入りの白いパンツが、こんなに泥だらけに、とショックを受けるかもしれません。
でも、 山をアクティブに歩けば、汚れるのは自然なことです。大切なのは、汚さないように恐る恐る歩くことじゃないではなく、どう手入れをして、次の山や日々の暮らしへ連れていくかです。
今回は、あのぬかるみの中でついたひどい泥汚れを、元の綺麗な状態へと連れ戻すためのお手入れのお話をさせてください。
泥汚れの正体と、お手入れの落とし穴
パンツが泥で汚れてしまったとき、つい焦って「すぐに水で洗い流したい」と思ってしまいがちですが、実はこれが一番よくありません。
コーヒーや醤油などの「水溶性の汚れ」とは違い、泥汚れの正体は小さな「砂や土の粒子」です。粒子が乾かないうちにいきなり水に濡らしてしまうと、水の力で泥の粒子が繊維の奥深くへと押し込まれ、かえってシミのように定着してしまう可能性があります。
粒子が乾かないうちにいきなり水に濡らしてしまうと、水の力で泥の粒子が繊維の奥深くへと押し込まれ、かえってシミのように定着してしまう可能性があります。
Trail Wide Pantsのタスランナイロンは、空気を含んだふんわりとした構造なので、そのまま濡らすと繊維の隙間に泥が挟まってしまいがち。
ですが、ナイロン自体は水分や汚れを芯まで吸い込みにくいという優れた特性を持っています。だからこそ、繊維の奥へ入り込む前に正しい手順で泥を叩き出してあげれば、驚くほどスッキリと綺麗に汚れを落とすことができます。
自宅でのケア、3つのこと
① 洗濯機に入れる前の、小さな準備
まずは、ウエアを洗濯機に入れる前の大切な下準備です。このひと手間が、生地を長持ちさせるためのポイントになります。
- すべてのジッパーを閉じる(開いたままだと、洗濯中に金具が擦れ合い、生地を傷つける原因になります)
- ポケットを裏返す(サイドの台形ポケットなどに、山で入り込んだ砂や小さな小石が残っていないか確認します)
- ドローコードを緩める(絞ったままだと隙間の汚れが落ちないので、必ず完全に緩めておきます)
② 汚れがひどい場合の「予洗い」
木曽駒ヶ岳のぬかるみでついたような頑固な泥汚れには、洗濯機に入れる前の「前処理」が劇的に効きます。
1. 完全に乾燥させて、ブラッシング
泥がついたウエアは、まず部屋で完全に乾燥させてください。パリパリに乾いたら、馬毛などの柔らかいブラシ(使い古した歯ブラシでも大丈夫です)を使って、生地を優しく叩くようにして泥の粒子を掻き出します。これだけで、表面の泥の大部分はポロポロと落ちてくれます。
2. 部分洗いの心強い味方
ブラッシングで落としきれなかった汚れには、普段使いの「液体の衣類用中性洗剤」を原液のまま少量、汚れた部分に直接塗布します。 また、白いパンツの頑固な泥汚れには、固形石鹸のウタマロも非常に心強い相棒です。汚れに少しだけ水をつけ、ウタマロ石鹸を優しく塗り込んで指の腹でなじませ、汚れを浮かせます。
⚠️ 強くこすり合わせないようご注意ください
ここで綺麗にしたい一心で生地をゴシゴシと強くこすり合わせてしまうと、ナイロンの繊維が毛羽立ち、逆に汚れが奥へと入り込みやすくなってしまいます。
3. ぬるま湯での押し洗い
洗剤をなじませたら、30°C〜40°Cのぬるま湯に浸し、繊維から泥の粒子を押し出すようなイメージで優しく押し洗いをして、軽くすすぎます。
3. 洗濯機での仕上げ
予洗いが終わったら、最後は洗濯機に任せます。
- 洗濯ネットに入れる(洗濯槽との摩擦を減らし、ウエアのシルエットや風合いを守ります)
- 液体の中性洗剤を使う(柔軟剤や漂白剤、蛍光増白剤入りはウエアの機能低下に繋がるため避けてください)
- すすぎは2回以上(泥の粒子を完全に流し切るために、すすぎは多めがおすすめです)
- 陰干し(直射日光を避け、風通しの良い場所で干してください)
道具をケアする時間も、山の一部
洗濯機から取り出し、ハンガーにかけて干す。 乾いたパンツを見れば、山に行く前のような綺麗な状態に戻っているはずです。
ベランダから真っ白に戻ったパンツを取り込むとき、何とも言えない充足感があると思います。こういう小さいところも含めて、山の記憶をいいものにできればいいと思っています。


あのぬかるみの中を一緒に歩いたパンツを、自分の手で淡々とメンテナンスしている時間。それは、登山口へ向かう移動の車内や、静かな稜線を歩いているときと同じように、ひとつの山行の地続きにある大切な時間だな、と感じます。
もし、どうしても落ちない小さなシミが残ってしまったとしても、それはそれで、自分がその山を歩いた記憶そのものです。
「白は汚れるから」とクローゼットの奥にしまっておくのではなく、街でも山でもガシガシ穿き倒して、少しずつ自分だけの道具にしていけたらいいなと思います。
【今回お手入れしたアイテム】
- [Trail Wide Pants(トレイルワイドパンツ)の詳細を見る]
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